はじまり

ファンタジー

3月の終わりの日のはじまりは雪。

はぁ?

なんてこった。雪かよ。

やっとやっと芽を出せると思っていたのに。

真っ暗な雪の下に埋もれながらどれほど待ちわびてきたか。

なんて声が大地から聴こえてくるのを

窓を開けた瞬間に想像したけれど。

まぁ、外に出たらなんて気持ちのいい。

雲に覆われた空も 冬と春の混ざり合った少し湿ったやわらなか空気も。

いいのいいの。

ゆっくりで。

急がなくていいんだ。

ほらほら。

いい匂いだ。

いいんだ。

ゆっくりで。

後ろに下がったって

また進む。

今日も太陽は昇った。

明日のことは誰にもわからない。

急いだって急がなくたってどっちだってかんけいない。

いつか朽ち落ちてしまうまで。命つきるまで。

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